「あじさいの恋」もよかったが、本作は寅次郎が坊主になりすまして、博の父の3回忌(志村喬が亡くなってもう出演がないのは悲しい)に出てくるところなど、コントとしてもよくできていて、最初のなりすましの檀家の長門勇(古谷一行との横溝正史シリーズは好きだったので出演は嬉しい)とのやりとりも、めちゃくちゃおもしろかった。
竹下景子演じる朋子は、いしだあゆみより明るい役で本作の雰囲気にも合っていた。ただ、その分、柴又駅での別れのシーンは本当に泣けてしまう。
少し離れたところでさくらが聞いている中での、寅さんと朋子のやりとり。寅さんもさくらも結末がわかっているだけに哀しすぎるシーンだった。
中期の作品は、この寅さんの身の引き方が納得いかない!と書いてきたけど、これだけ同じパターンを見てようやく納得できるようになってきた。
立派な人よりも、もう寅さんみたいな人の方がいいのかも、と半ば諦めたようになった女性が寅さんと一緒になって幸せになれるのか、寅さんにその資格があるのか、ある意味本気で考えた上での結論なのだろう。
寅さんが(特に旅先での)自身で思っている以上にモテすぎてしまうのが問題なのだ…(笑)