幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

アネット

annette-film.com

レオス・カラックス(「汚れた血」は生涯ベスト10には入るほど好きな映画)がミュージカルを撮ったということで、すごく気になっていた作品。シネ・リーブル梅田のodessa music上映の最終日になんとか間に合って鑑賞。

レオス・カラックス作品という時点で、やはり爽快感ゼロで、さらにミュージカルということで、観る人をかなり選ぶ映画。自分はこういう心にゴツゴツとぶつかってくる映画は好きなので、期待どおりだった。

キャストではスターウォーズでカイロ・レンを演じたアダム・ドライバーがはまっていたと思うし、さらに途中まで気づかなかったが(途中でどこかで見たことある!と思ってからも気づくまで時間がかかった)、ビッグバン★セオリーのハワード役のサイモン・ヘルバーグも良かった。この二人が絡むシーンは、上記の役を思い出してにやついてしまった。

 

以下、ネタバレあり。

 

「ポーラX」(20年前に書いた感想文へのリンクは伏せる(笑))を思わせるプロットが多い。親しい人(兄を、妻を)劣等感から殺してしまう、この世を裁こうとして、あるいはこの世を見下して、深淵を覗いて、この世から報いを受ける、など。

「ポーラX」と同じく、主人公のヘンリーには全く救いのないラストが待っているが、そこでのアネットとの対峙シーンは、理屈からはかけ離れた爽快感のようなものがあって心に刺さった。