「この社会には煽動家が多すぎるのよ。そして調停する人はあまりにも少ない」
ミネット・ウォルターズ「遮断地区」
何かの書評でおもしろそうと思ってて、kindleストアで割引してたタイミングで買ったままほったらかしになってた。
もう少しひねったサスペンス系を期待していたが、そうではなくパニック・ヒューマンドラマといったところか。
カミュの「ペスト」を思い出した。
複数の登場人物ごとに進行する事態が気になって、次々とページをめくってしまったが、構成とか人物はやや普通すぎだったところが残念。
ただ本書は2003年に出版されたそうなのだが、今現在問題になっていることを描いているようにみえるところが驚きだった。階級、人種間の対立、それらを煽る無責任な扇動者…著者の予言というわけではなく世界ではその頃からすでにそういうことが起こっていたのだと気づかされた。次のセリフが印象的だった。