幻覚ギター

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失敗の本質

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)前の会社の大先輩にすすめられて読んでみた本。

表紙をみると戦争史の本っぽいが、序文にもあるように第二次世界大戦における日本軍をケースにした組織論の本だ。

とても昔の話とは思えない(社会人になってから何度もみたりきいたりした話と同じ)ことがたくさんで、考えさせられる内容だった。

中でも自分の体験からも一番共感できたのは、日本の組織は失敗から学ぶことが下手だということだ。

失敗を隠蔽する体質や失敗が明らかになっても責任をあいまいにする体質が、失敗の原因を論理的に分析して失敗を繰り返さないよう対策することの障害になっている。

その原因となっているのは「失敗はどんな失敗であれ悪」という考え方ではないかと思う。

無策で失敗すべくして失敗しているようなどうしようもないものは別だが、よく考えた結果の失敗であれば原因を分析して、考えた過程をみなおすことによって、次はどうすべきか、どうすべきでないかという議論につなげることができる。

また、もともと失敗は織り込み済みで最も被害を小さくできる方法を選択したもの、自分たちではコントロールできない要因で失敗した場合などもあるだろう。

それらをまとめて「失敗したら責任を取れ」のようにしか評価しないので、失敗の原因が分析されることなく誰かを悪者にするだけだったり、逆に誰かをかばってあいまいなままにしておいたりすることが多くみられるのではないだろうか(マスコミがとりあげると前者、そうでない場合は後者)。