この暴露に関わった人たちの苦労や、暴露の意義については認めた上でも(これについてはいろいろと考えるところがあって、まだ自分でもまとまっていない)、思っていた本とは違った。
第1章、この本の著者であるグリーン・ウォルドにスノーデン(その時点ではVeraxと名乗っている)からOTR(暗号化されたメッセージ)経由でPRISMに関する文書〜NSAがMicrosoft、Facebook、Google、Yahoo、Skype、Appleなどのサーバからデータを収集している〜が伝えられる。それを読んだグリーンウォルドは興奮しつつ"Skype"を使ってガーディアン紙の編集長に連絡をした…って、え!?この人大丈夫!?といきなり緊張感がなくなってしまう。
そもそも、これよりも前にやはりスノーデンからコンタクトされたときも、PGPのインストールができずに機会を逃すということもやってしまうほどに、この著者はITに疎い。
この本を読んだのは、PRISMやその他のNSAプログラムの技術的な部分を知りたいと思ったからだったのだが、その期待ははずれた(CiscoのONS SONETのソフトウエアバグが監視プログラムに与える影響についての文書は興味深かった)。
他にも、NSA内部文書の中でも政府へのアピールや志気向上のために成果を強調していると思われるものを抜き出しては「おそるべしNSA」としたり、暴露後のグリーンウォルド、スノーデンへの攻撃への反撃に多くのページを割いていて、やはり読みたかった内容とは違っていた。
WGBH製作のドキュメンタリーの方がもっと客観的で多くの情報を含んでいてみごたえがあった。