幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

空飛ぶタイヤ

空飛ぶタイヤ(Jノベル・コレクション) (Jノベル・コレクション)すすめられて読んだものだったが、正直悪趣味な本だと思ってしまった。事件そのものはひどくて許せないと思えても、この本は別。 「沈まぬ太陽」の劣化コピー、というか「沈まぬ太陽」で僕が素直に読めないと感じた部分が目立ち、中途半端に緻密な事実を入れながら幼稚な勧善懲悪ものにしてしまっているのがさらに許せない。著者は本当にこんなものが書きたかったのだろうか?それこそ出版社などの思惑にのっかってしまっているのではないかとさえ思える。 僕自身組織に属する人間となってずいぶんになることもあって、実は「世間」とずれているのかもしれない。でも「世間」の基準というのはどのあたりにあるのだろう? 赤松社長が部下のため家族のために、と奮闘するのと同じ構図が逆のホープ自動車側にだってあったはずだ。そのあたりを書かず、ただ問題を起こした企業や人だけをあたかも特別な悪であるかのように扱っているかぎり、何度でも同じことは起こるだろう。