ちょうど、これをみる前(もう2月のことだったが)に読んだ「その数学が戦略を決める」でも事例として紹介されていたので、興味深くみれた。
まず、映画としてみたときの感想。
心に響いたのは、ビリーが旧勢力からの抵抗に屈せず、新しいスカウティング方針を導入するという信念を貫いていく部分だった。
何十年とスカウティングをやってきた者たちがいう「業界の常識」を封じ込めるのは大変だろう。どちらが正しいのかはっきり成果が出るにはある程度の時間も必要で、そもそも本当に明確な成果の差が出る保証もない。そんな状況で自分の選択した方針を徹底していくには相当な精神的な強さがなければならない。
こういうところで折衷案的なものを出してしまう日本的なやり方だとダメだよな…と自省してしまう(すぐに"You're fired!!"と言えるかどうかという雇用慣習の差もあるけど)。
次に統計学の事例としてと、「この数学が戦略を決める」の感想。
小学生の時から、野球をみながら選手の打率や防御率をみるのが大好きで、野球盤やカードゲームなどの野球の試合でも簡単なスコアをつけて架空の選手の打率や防御率をつけるほどだった。
なので、野村ID野球が統計を重視して相手の戦略や配球を読んでいるということにもとても興味があった。
そういう視点でみると、映画でのこれに関する部分の紹介は物足りない(映画でそれやったらダメだと思うし、原作はどうなのだろう?)。
一方で、「この数学が戦略を決める」でも野球に関してはそれほど詳しくは書かれていない。何か野球に特化して書かれた本があれば読んでみたい。
野球以外でも事例が広く浅く紹介されているので、本格的にやるには物足りないところがあるが、目の前にみえている以外のことが数字によって明らかにされるというのは、やっぱりおもしろい。