昔、関西ローカル(?)で阪急東宝グループ提供、関テレ制作のドラマ枠があった。低予算というかチープな作りに突っ込みながらたまにみていた。
この映画は同じような枠組みで作られているっぽかったので、あまり期待せずおもしろくなかったら途中でみるのをやめよう、というノリでみてみたのだが…。
以下、若干のネタバレと辛口批評です。
冒頭の中谷美紀のエピソードや、そこを起点とした登場人物の状況もテンポよく紹介されていき、さらにそれぞれがつながっていく様子から、今後の展開に期待を持ってしまい、気がついたら中盤まで来ていた。
ただ、そこから失速したというかガッカリしてしまった。
まず、「これは映画と言っていいのだろうか?教育用の道徳映画か何かの宗教団体のプロパガンダ映画なのか?」と疑問が湧いてくる。
登場人物をわかりやすく善悪に分け、悪には厳しい視線を注ぎ、善をひたすら称賛する。こんな単純な世界に対して「こんな世界も悪くない」なんて言われても、実感に乏しい。
もっとやりきれない世界の中に小さな光をみつけて吐いてこそ説得力があると思うし、そもそもこういうセリフは実際に言わせるものじゃなく、みている人にそう思わせるべきだろう。屈折したおっさんは完全に醒めてしまった(そこに至る前にあの大学生カップルのファンタジーにすでに脱力してたけど)。
原作は評判よさそうなので、もう少し違うのかもしれない。機会があれば読んでみたい。