幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

「いつも、気づけば神宮に」

軽い気持ちで手に取ったのに、いきなり最初の「かすみ草の系譜」、1992/10/10の甲子園の試合で故大杉氏が広沢選手に乗り移って打ったかのようなホームランの話に泣く。

この試合は土曜でテレビでも見てたし、当時新聞や雑誌もいろいろ読んだけど、レフトスタンドで大杉氏のテーマが演奏されたということは知らなかった。今だったらきっとネットニュースにはなっていただろう。

「背番号《1》の系譜」では、自分と似た体格ということで思い入れのあった青木から10年前にもらった年賀状を、お守り代わりに持ち歩いている若松の話に、また泣く。

「脇役の系譜」ではやはり角!

確かに目立たない選手だったけど、この人はとても記憶に残っている。何か持っている人という気がして、同じ脇役の系譜でも渋井じゃないやろーとは思う。むしろ土橋タイプではないか?

そして驚きだったのが王の一本足打法で有名な荒川コーチが杉浦や八重樫に一本足打法をゴリ押ししていたこと(しかも王と同じパンツ一丁で刀で紙を切るやつもやらされたらしい)。

杉浦はそのおかげでライトに強い打球を打てるようになった、とか。強く引っ張りすぎてライナーが多いイメージが強かったのだが。日本シリーズでの代打サヨナラ満塁ホームランは荒川コーチが打たせたものと言えるのかも。

国鉄戦士たちの系譜」ではカネやんこと金田正一氏の破天荒ぶりが元チームメイトから語られているのが興味深い。本当にそこまでめちゃくちゃだったとは(笑)

そして、「負けグセの系譜」では何と言っても関根潤三氏!

「一勝二敗の勝者論」という、関根潤三氏がヤクルト監督退任翌年に出版した本。著者は負け越して勝つなんておかしいだろうと思っていたが、年を経てその本当の意味に気づいたので関根潤三氏に会いたくなった、というエピソード。しかし関根潤三氏は「何これ?僕が書いたの?」「バカ言っちゃいけないよ。一勝二敗で勝者であるはずがない」などと言う。完全にギャグ展開に…。

本当におもしろい本だと思うけど、スワローズファン限定で、このおもしろさを共有できる人が周囲にいなくて残念。