小学から中学の頃にかけて、テレビでよくみてた「宇宙戦艦ヤマト」。そのくらいの歳でも、作品が回を重ねるたびに迷走していることは感じてたが、裏側がこんなだったとは全く想像できない。
ただ本書がすごいのは、その裏側に関心を持って読み始めたにも関わらず、最終的にはヤマト制作の裏側自体はどうでもよくなり、ヤマトはこの西崎義展という人物の破天荒な一生がフィクションでないことを実感するための材料に成り下がるところだ。
総合プロデューサーとして、自分で集めた金を使って、作品=自分自身を世に認めさせるものにするために何でもやるという生き方(きれいごとではなく、法を破ること、他人の人生を狂わせることも厭わない)は、まさに狂気という言葉しかない。
経営者目線で現場に介入してくる厄介な人物というと、スティーブ・ジョブズなんかにも通じるところはありそうだけど、こちらの方がタチは悪い。
それでも、読後はどこか爽やかになって元気が湧いてくるという、怪書だった。