幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

セッション

最後まで緊迫感がすごかった。思わず2回みてしまった。 以下、ネタバレあり。 ラスト近く、フレッチャーの策略で自分の知らない曲を演奏できず、ステージを降りるアンドリュー。バックステージで父にハグされ、「帰ろう」と言われた後、アンドリューが本当の狂気へと落ちる瞬間がよい。 それまでも、フレッチャーに追い込まれるまま、何もかも捨ててドラムに打ち込む姿は狂気じみていたが、フレッチャからしてみれば、まだ足りなかったということか。 10分間続く演奏シーン、アンドリューの狂気のドラムソロにフレッチャーも惹きこまれて行く、ストーリーとしてこの後どうなるのかなんて放置されたまま、カタルシスの頂点で唐突に訪れるラスト。 素晴らしかった。 もちろん、倫理的には納得いかないことだらけになるのだが、一方で、こんな狂気じみたことが可能にすることもあることも確かなのだとも思う。そうやって産み出されたであろう作品を享受してしまう立場として、これをただ倫理的な観点で否定するのは難しい。 芸術と狂気を描いた作品として「赤い靴」なんかを思い出した。