HARD THINGSほどの感動はなかったけど、望ましい企業文化を作ることはやはり重要だし、それでいて本当に難しい。
本書ではトゥーサン・ルーベルチュール、シャカ・サンゴール、武士道やチンギス・ハンといった例を中心にいかにして文化を作り上げるかについて書いてあるが、残念ながらこれらの例はあまり響かなかった。
武士道のあたりを読んで、他の話もかなり理想化しているのだと思えてしまったこともある。それに比べるとやはり前作でも思い切り刺さったオプスウェアの話はどれも面白い。
中でも、営業部長のマーク・クラニーが入社を決めた話は誇張だとしても本当に笑える。
「まず面接から違うんだ。俺を面接したのは、営業部門のシニアバイスプレジデントを務めるジョン・マクマホンだった。最初の5分ほどは黙ったままで、突然こう聞いてきた。『今ここでお前の顔に一発食らわしたらどうする?』って」
「俺は逆に聞き返した。『俺の知性を試してるのか、勇気を試してるのか?』ってね。そしたらマクマホンは『両方だ』って言うんだ。だからこう言い返してやった。『だったら俺を一発で気絶させないとえらいことになるぞ』そしたら、『採用だ』って言われたんだ。その場でここが自分の居場所だってわかったよ」