幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

息もできない

サンフンとヨニの主人公二人がすごくよくて、途中までは間違いなく期待通りの映画だった。ただ終盤がちょっと違った。

以下、本当にネタバレあり。

漢江のほとりでサンフンが泣くシーンで第一のクライマックスを迎え(ここは泣きそうになった)、暴力の連鎖からぬけだそうとするサンフンを悲劇が襲うラストへ向かっていく。

どう呼ぶのかわからないけど青春ヤクザ映画みたいな路線を踏襲して、サンフンが殺されてそれを知らずに楽しそうに待ち続けるヨニたちという陳腐な終わり方でも許せたと思う。

それほど主人公二人がよくて、話がどうとかいう前にこの映画に引き込まれていた。

しかし、サンフンの死から立ち直ったヨニたちの姿で救いを感じさせるラストなのか?と思ったところで、今度はヨニの弟が暴力の連鎖に絡めとられているのをヨニが目撃するラストでちょっとわからなくなってしまった。

サンフンの死が何の意味もないという方向なら、「勝手にしやがれ」とか「気狂いピエロ」とか途中で連想した映画のような気持ち悪い(気持ちを揺さぶられるという意味で)ラストでもよかったのではと思えた。

ただ、この映画が高評価なのは映画としての完成度というよりも勢いがある点だと思うし、それは確かに感じられた。記憶に残る映画なのは間違いない。