幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

「パナソニック人事抗争史」

会社内の噂、それも人事に関することなんて芸能ゴシップと同じようなもので、くだらないと思いつつやはり気になるもの。 それが他社の話で抗争劇となると、純粋にゴシップとして消化してしまう。

この本はそこをうまく突いていて、経営論を論じるでもなくただパナソニックの社内抗争、それもある一派の動きを批判的に書いている。

やや一つの視点に偏ったところもあるのかなとも思うが、従来から言われている日本の取締役会の甘さ(経営と執行が分離されていない)を象徴した出来事が起こっていて、おもしろかった。 笑ったところは津賀社長の評価の部分。表現が町田康の小説っぽい(笑)

「津賀君は、”森田の研”に向かって、おかしいやないかあの工場。赤字たれ流しやないか。(中略)即刻、工場を停止すべきやいうて、ごっつい喧嘩しよったんや。それで、それまで同じ思いを抱きながら、何ももの言えなかった取締役の連中も、津賀君ええな、と思うようになった」