幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

ソーシャルメディアの“掃除屋”たち

NHKのBS世界のドキュメンタリーでみた。見終わった時、絶望感と怒りの入り混じった感情が残った。

本ドキュメンタリーは、ソーシャルメディアに投稿される有害コンテンツを削除する仕事をしているコンテンツ・モデレータと、それを取り巻くソーシャルメディアとリアルな世界の、見たくない面に光を当てる。

コンテンツ・モデレータはこれらソーシャルメディア企業の社員ではない。アメリカ人ですらない。アメリカのソーシャルメディア企業は、これらの仕事をフィリピンの企業に委託しているのだ。

コンテンツ・モデレータたちは膨大な数の有害コンテンツを見せられ、心を病み、自殺した人もいる。

ソーシャルメディア企業は人々の怒りを煽ることで注目を集め、自身のプラットフォームの価値を上げようとしている。

有害なコンテンツへの対応はしっかりやっているとアピールしつつも自らの手は汚さず(コンテンツ・モデレータを直接雇用せずケアもせず)、海外企業に委託している。

利益を最大化するという行動としては理にかなっているのかもしれないが、ソーシャルメディア企業の強烈な邪悪さには怒りを覚えるし、それに簡単に扇動される人々の姿には絶望してしまう。

(一方でこのドキュメンタリーで描かれていることが全て本当なのかということも自分では確認できないのだが)

昔はFacebookは好きだったのだが、昨年からの一連の出来事でFacebookのことは全く信用せず、距離を置いている。

それでも演出の意図通り、ラスト近くで無邪気に(本編を見た後には「白々しい」としか思えないが)Facebookが成し遂げる素晴らしいことについて語るザッカーバーグの姿は、見ていられないという気持ちになった。