幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

山田正紀「カムパネルラ」

思っていたものと違うことがいくつかあったけど、先が気になって一気に読んだ(途中、改めて青空文庫版の「銀河鉄道の夜」を読んだけど)。

 

以下、ネタバレあり。

 

まず、タイムループものかと思っていたら仮想世界ものだった。
そしてもう一つが、まさにその仮想世界「システム」についての設定がいろいろと曖昧で、SFというよりはファンタジーであったこと。

そもそも「システム」と現実の関係がいい加減で、ちょっと都合よすぎな気がしたし、そのような脆弱な「システム」を洗脳の道具に使うメディ管もどこか間抜け。

ただ、それらを差し引いても、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の世界を舞台に、体制の陰謀や主人公の母への想い、そして「銀河鉄道の夜」への思い入れが凝集されて、読ませる展開だった。

ラスト近くの展開はやはり泣けた。