幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

殺しが静かにやって来る

展開もモタモタして、やたら雪景色ばかりで、退屈な映画やなぁ、題材や、キャストは良いのに(この女優の目のデカさに吸い込まれそう)…と思ってアクビしながら観てたのだが。

以下、ネタバレあり。

 

右手を負傷しながらも人質を救うために罠と知りつつ、敵に向かう主人公と後を追う恋人。さらに左手まで撃たれて、絶体絶命、もう残り時間もないけど!?と急激にハラハラする展開に。

そして…

ええええええ!?と声が出てしまう衝撃のラスト!主人公は脳天ぶち抜かれ、恋人も殺され、人質も皆殺しで悠々と去っていく敵たち。

いや、こういう作品もありだと思うけど、マカロニ・ウエスタンで爽快感ゼロは辛い。

レイ・クロック「成功はゴミ箱の中に」

「戦略読書日記」で紹介されていたので。

マクドナルド(現在の世界的なハンバーガーチェーンとしての)創業者レイ・クロックの成功は、大局的な理論というよりは、本人が持つ直感や情熱、人を見出す力といったものに負うところが大きかったと読める。

なので、本書はビジネス書というよりは伝記に近い。

 

それでも、この人の直感(あるいは長年のセールスマンとしての経験?)から発せられる言葉は説得力もある。

私は、職権というのはいちばん下のレベルにいる人の手にあるべきだと常に考えていた。店にいちばん近い立場にいる人間が、本部に指示を仰がずとも決断できるべきだと。

 

ただ、一番面白かったのは(「戦略読書日記」でも書かれていたが)、この人の恋愛体質なところだろうか。ジョニと出会い(どちらも既婚)、

何ということだ!彼女の美しさに驚いた。彼女も私も既婚者だったので、目が合った瞬間のときめきは打ち消さなければならなかった。だが、それは私にはできなかった。

レイはジョニと結婚するために最初の妻と離婚するが、ジョニは決断できず、レイは傷心の日々、仕事に打ち込むのだが…

生まれつき独身体質の人は存在する。でも私は違う。人生には伴侶が不可欠だと信じていた。だから私はジェーンに激しく惹かれてしまったのだと思う。

と、ジェーンと出会って結婚する。が、

ジェーンとは幸せだった。だが、私が過去に心から愛し、今後も愛し続けるのはジョニ一人だ。

などとやはりジョニを忘れられない、そして…

ジョニと五年ぶりに再会した。正直に言って、初めて彼女に会ったときに感じた衝撃はもう二度と起こらないだろうと思っていた。だが、それは間違っていた。

結局、ジェーンと離婚して、ジョニと結婚したのだった。

このあたり、やはり癖のある人なのだろうと思うが、映画化されてて、そちらは完全に悪人として描かれているようだ。本書ではずる賢いマクドナルド兄弟(オリジナルのマクドナルド創業者)との闘いが書かれている。映画は逆の立場から見たものなのかもしれない。これは観てみたい。

www.imdb.com

ブラック・クランズマン

どれだけ細かく焦点を合わせて見るのかが、迷う作品。
以下、ネタバレあり。


少しボヤッとした視点で見ると、おもしろかった。何よりロンやフリップとその周囲の雰囲気や、上司、署長など信頼できる人がいることが救いになっている。

ただ、やはりそれではすまない映画で、終盤でKKKの儀式と黒人の学生運動の集会とを対比させるシーンは、結局のところ「分断」がなくなるというのは幻想でしかないという気分にさせれられるし、ラストのシーンはもっと救いがない。

それにしてもこの問題(映画で描かれている人種に限らず)は本当に難しいと思う。(近いから集団になるとは言え)一人一人考えていることや環境も違うのに、集団として何か一つの個人のようになって、その過激な部分同士をぶつけ合ってエスカレートしていく。

同じ集団の人のことさえ本当にはわからない状態で、敵対する集団に属する人のことを理解することも難しいだろうし、ネットには嘘や極端な事例だけが示される。

これを利用して権力を得たり、カネを儲けたりする人たちがいる、というのも今に始まったことではないのだろうけど、暗い気持ちになる。

ハード・ウェイ

ストーリーは何ということはないのだけど、この頃のマイケル・J・フォックスはやっぱりおもしろい。

バック・トゥ・ザ・フューチャーを思わせる音楽とか、セリフとかも気づくと楽しい。

 

子役としてクリスティーナ・リッチが出てた。

マーク・ハーツガード「ビートルズ」

今でも、レアトラックをつけたビートルズのオリジナルアルバムのSuper Deluxe版などが定期的に出て(これはApple Musicで聴けるのが嬉しい)、その度にレコード・コレクターズなんかが特集をしていて、やはりその度にそれを買って読んでしまっている。

 

なので、20年以上前に書かれた本書に目新しいことが書いてあるわけでもないのだけど、音楽面に焦点を当てた本書を読み進めながら、あらためて全アルバムを聴くのは楽しかった。

 

この著者もどちらかと言えばジョン・レノンを高く評価している(自分もそうだけど)。ただこの本ほど他のメンバーに意地悪な感じではないのもよかった。

「博士と狂人」

オックスフォード英語大辞典の編纂事業の壮大さにまず驚いた。
江戸末期に開始して、昭和初期までかかったとは。

さらに編纂に大きな貢献をした、数奇な運命を生きたアメリカの元軍医の物語にも驚く。

当時のイギリス社会の描写は、日本の同時代のイメージに比べて先進的で感心した。

ショーン・ペンメル・ギブソン映画化されてたのは知らなかった。