幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

グレッグ・イーガン「ディアスポラ」

壮大なハードSFで、ついていくのは大変(ところどころは雰囲気で理解)だったけど、面白かった。順列都市と構成が近い。

人間の記憶や意識をスキャンしてコンピュータ上で走らせる<移入>の世界が当たり前の世界を、ほぼ説明なくグイグイと物語を進めていく序盤から圧倒される。が、実は巻末に用語解説があった…(これはネタバレにもなるから巻末につけてるのかもしれないけど、意味がない)。

ただ、<移入>の世界が当たり前とはいえ、他の短編でも時々出てくる、肉体や死の意味を問うことは一つのテーマにもなっていて、肉体人でもちゃんと感情移入できる(笑)。

もう一つのテーマで本作を壮大にしている、高次元とそれを操れる異世界生物の存在は、三体の最終巻は本書からも相当に影響を受けたのだと思えた(両方の元ネタ的なものがあるのかもしれないけど)。

ファイナル・デスティネーション

2作目と、3作目を見て、やはり1作目も見なければ、ということでようやく見れた。

1作目はXファイルの没ストーリーが元になっているとのことで、続編以降のスプラッター的な要素はほぼなく、サスペンス的な味付けだった。本作のようなものを期待して2作目を見た人は驚いただろうな(笑)

自分の場合は逆に2,3作目のテイストを楽しめたので、本作はやや肩透かし…。でも危険予知しろや!というツッコミはあちこちにあって、怖いけどやはり楽しい。

 

メッセージ

テッド・チャン「息吹」の解説の中でこの映画が紹介されていたので。

以下、ネタバレあり。

 

原作を読んでいないのでわからないが(「息吹」を読んだ印象ではテッド・チャンはそれほどハードSF路線ではないみたいだし)、SF的な解説はほぼ省かれているので一般の人にもわかりやすいものだった。

自分にとってはもう少し時間の扱いや、3,000年後に彼らが想定している出来事などについて知りたかった。

それでも宇宙生命とのコンタクトから、彼らの意外な目的とそのために使った方法など、楽しめた。

 

テッド・チャン「息吹」

レビューが相当に良かったので、かなり期待したのだが、ラストの「不安は自由のめまい」がなければ、期待外れだった。

好みによると思うが、どれも仕掛けもストーリーも期待したものに比べて小さくて、物足りない。

ただ、ラストの「不安は自由のめまい」はかなり良かった。量子力学を使ったパラレルワールドものだが、プリズムを通したコミュニケーションの制限と、人々がそれを使って自分にあり得た別の可能性を確認する、という仕掛けがおもしろかったし、オチはホロリと来るものがあった。

これだけのための一冊だったと思えば大満足。

ゴーストバスターズ(リメイク)

もちろんあの曲が流行りまくった(といっても好んで聴いていた人がいたというより、とにかくあちこちでかかりまくってた感じか)時代をよく知っている世代ではあるが、オリジナルに思い入れはほぼないので、抵抗感なくみれたし、そもそも期待も高くなかったこともあってか、おもしろかった。

登場人物もそれぞれ良かったし、普通に続編とか作っても良いのでは?と思ったのだが、あまり評判がよくなかったようで…。

ダーティハリー5

ダーティハリーシリーズ最終作なので、面白くなかったのだろうな、と思ってみたら意外に面白かった。

ラジコンカーとのカーチェイスはラジコンカー凄すぎやろう(爆弾積んでてあのスピードとか電池とか…)と突っ込みながらも、まあいいかという感じで楽しめる。

相棒が病院送りで済んだのもよかった。

忘れてたけど、マイケル・サンデルの「それをお金で買いますか」で言及されていたデスプールの例で本作のデッド・プールが紹介されていたのだった。

リーアム・ニーソンが出てるのと、すぐに死ぬけどこのロックシンガーは誰だろう?と思ったらジム・キャリーだったりとキャストにも発見があった。

アリー/スター誕生

ブラッドリー・クーパー監督作というのは最後に知ったが、なぜこの映画を撮ろうと思ったのか?自伝的な何かなのか…。

それがわからなかったので、日本の若者向けコミックのような展開に思えてしまってやや期待外れだった。

それこそ、アリーが哀れな男を踏み台に成功への階段を昇っていく、という黒い話だったらそれでよかったのだが(要するに最後のアリーの表情が、悲しいけど前を向く、ではなく、計算通り的なひねくれた解釈ができたら、と)。