幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

乱 デジタル・リマスター版 [DVD]公開当時凄い話題になってたし、所々の映像が流れてたりしたので、何となくみてた気になってた…。 これぞ映画!という映画で、何より映像の力が凄い。(黒澤明最後の時代劇、名作という威光にも圧倒されたか) 単に合戦シーンが大掛かりで凄いという意味ではなく(確かにどんどん落馬する兵士や、死体となった兵士を飛び越えていく馬群など、迫力はある)、風景の細部までに神経を行き渡らせて撮ったのではないかという執念のようなものがどの場面からも迫ってくる。 兵士の死体が折り重なり、それに無数の矢が刺さっている場面でも、矢の本数、角度、兵士の腕の曲げ方、全てがそれでないといけない形になっていると感じたし、実際それによって残酷な場面なのにそこに美しさのようなものが見えることが多かった。 ベースとしたリア王は読んだことがないので、それがどうなのかわからないけど、本作では神や仏を信じながら愚かで残虐な行為を繰り返す人間の愚かさや哀れさがテーマとなっている。ラストはちょっとわかりやすくしすぎな気もしたけど、よかった。