幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

平野 啓一郎「マチネの終わりに」

kindleストアでセールの時に買って、そのままになってた。

 

以下、ネタバレあり。

 

中盤まで、意外にもすれ違い系の恋愛小説なのか?と、イライラ(何で、そこですれ違う?と)しながら読み進んだが、終盤は切ない気持ちと、そこから蒔野のギタリストとしての再生や、自身の人生を取り戻していく洋子を通して幸福感があって、とても良い読後感だった。

 

メインのストーリーに絡んで、人間の感覚の繊細さ(未来が過去を変える、現代人は常に五感を喧騒に揉みしだかれながら疲労している)、グローバル資本主義のシステムへの疑問(人間の不確定性を出来るだけ縮減、人間が自分で考えて行動しなくても良いような自動化)、それに東日本大震災などが織り込まれていて、今の我々を取り巻く状況を自分でも改めて考えるきっかけになった。

 

読んでいる途中で、映画化されることを知ったが、クラシックギターの部分がどんな感じになるのかが気になる。