上から目線ですが…。
昔、マイクロソフト関連の本に、面接で候補者の考える過程をみるために「○年後に○○のガソリンスタンド数はいくらになるか?」みたいな質問をする、とあってとても感心した。
その元ネタとなった「フェルミ推定」というものを紹介するということだったので気になって手に取った。
正直、本書で鍛えられるのは僕がイメージする地頭力ではないと思った。本書での定義は「『考える力』のベースとなる知的能力」となっているが、それも曖昧で知的能力とあるけどどちらかといえばテクニックに近い。
特に上の問題の解き方については、完全に汎用化して解法テクニックの伝授になりさがってしまっていて何だかなぁ…というところ。
ただ「フェルミ推定」とか言っているのは実は単なるツカミで、「結論から」「全体から」「単純に」という後半の方は読ませたいと思う人の顔がたくさん浮かんできた。
最近後輩などを指導していて感じるのが「想像力」が大切だということだ。やる気があってちゃんとやろうとしているのに的外れなことをしているのは多くの場合、「これをやった後何がわかって次にどうするか?」というイメージができないまま目先のものに取り組んでしまっているというパターンだ。
あることを調べて得られるであろう結果すべての場合を考えて、やってもやらなくても同じ(自明なことか、あるいは結局何もわからないまま)ということに気付けばこれは避けられるし、そのためにはそれが終わったときの状況を想像することが重要なのだ。逆パターンで「何が何でも捏造(妄想)パターン」もあるが、ちゃんと想像していないという点では同じことだ。
「想像する」ことを「考える」といい、それができることが地頭力というのならそれであってるのかな。
タイトルをみて、どれだけくだらない本なんだと思わず手にとって読み始めてそのままレジに行ってしまったという本。とにかく前半は恐ろしい(アメリカの話ではあるのだけど)。日本の大企業だって(当然企業としての立場に立てばすぐわかることだが)結局はそうだろうと思っていたことをはっきりとつきつけられた気分だ。
昔「サラリーマンですから…」というセリフで遊んでいたことが笑えない…とまで思うほど読んでいて息苦しくなった。
ただ後半は(前半があまりにネガティブだったせいか)、その中で何とかがんばっていくポジティブな話が出てきて読後感も悪くなかった。前の会社で、会議のたびに役員から厳しく責められる立場にいた方の「最初に人間性をすべて否定されて、そこからようやく始まる」という言葉を思い出した。
この前に読んでいた「はじめての課長の教科書」もこの本と書いてある内容は似ていると思うのだが、「はじめて~」については「賢い人が書いているのはよくわかるしいちいちその通りだと思うけど、何だか読んでいて読んでいる自分も含めて腹が立つ」という感想だった。
「パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)」
造語一発で本にしたという印象を持った。残念ながら中身は薄い。ほんの1ヶ月ほど前に読んだはずなのだけど、今ぱらぱらと中をみても内容が思い出せないほど、あまり心に残るものがなかった。
先の2冊にも絡むが、人材の流動化(国内外も含めて)が重要という点についてはそのとおりだと思う。日本の企業には仕事や会社に文句を言い続けながらも、そこから出ていけない不幸な人(企業側もそれに甘えているとは思う)が多いと思うので。
読み物的に軽く読めるというところはよかった。専門にやるのでなければこれくらい知っておけばよい、というところでうまくまとまっていると思う。僕はもちろん専門じゃないから説得力ないけど。