幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

「PIXAR 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話」

とにかくよくできたストーリーで、結果がわかっているとはいえハラハラドキドキしたり感動したりした。ビジネス書としても勉強になるところもあるし、本当にオススメの1冊。 出てくる人たちが皆めちゃくちゃ優秀で、それもその道のプロとして優秀というだけでなく、ジョブズを操縦できる(ジョブズの言葉の翻訳の風味のためか、大人な著者からの視点だからか、本書でのジョブズは可愛く思えてしまう)人間的スキルまで完璧という。傑物がたくさん出てくる時代小説でも読んでいるような気分も味わえる。 登場人物の中で印象的(小ネタ的なところだけど)だったのは、「エンタテインメント・ビジネス―その産業構造と経済・金」というマニアックな本を書いたハロルド・ヴォーゲル。著者はピクサーに来た当初、エンタテインメント業界でのビジネスを学ぶのにこの本を読み込み、とにかく厳しい構造であるということを学ぶ。 そして、PIXARIPOの際にエンタテインメント業界へのお墨付きを与える役割を彼と彼の投資銀行に依頼する。
そんなことは止めたほうがいいよと言われるかもしれないと思っていたが、返ってきた言葉は違った。 「詳しい話をお願いします。ピクサーはおもしろそうだと目を付けていたんですよ」  想像もしていなかった反応だ。私は、ピクサーのストーリーをいつものように語った。 「うーん、いいですねぇ。実にいい。エンターテイメント業界で必要なものがぜんぶそろってるんですね」
PIXARの成功後、その本の改訂版に、PIXARが例外的に成功を収めたことやその理由が追加されていた、という渋いエピソードもよかった。