幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

蹴りたい背中

社会に対して疎外感を抱く主人公ハツと、モデルのオリチャンに没頭することで自ら別の世界に生きている「にな川」が出て来る、何が満たされないというのでもないけどとにかく閉塞感に沈んでる子どものありきたりな話。

「上手に幼い」モデルのオリチャン(27歳)と、生徒にかまってもらって舞い上がっている顧問の先生(白髪で説教くさい)といった、社会との距離感に悩むことなくおりあいをつけて生きていく大人たちに対する失望も平凡な気がする。ただそういった素朴な事柄をものすごく丁寧にうまく描いているところがよいと思った。

これだけたくさんの物語がテレビや映画、漫画で大量に作られている現在、文学に何を期待するべきか、ちょっと考えさせられた。

著者がオリチャンや先生の歳になったときに、どういう小説を書いているか読んでみたいと思った。