幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

森岡毅「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」

確かに、一時期USJって大丈夫か?という雰囲気があったと記憶している。それが今や電車に乗ると平日でもUSJの行き帰りの乗客をよく見かけるし、外国人観光客の多さも目立つようになっている。

ちらちらと雑誌などで、USJが危機を乗り越えたストーリを読んだりしたけど、これほどいろいろ仕掛けていたことは知らず、著者やそのチームが難局に次々と挑む過程は経験した人が語れる迫力があって読み応えがあった。

東日本大震災の自粛ムードを変えるために大人一人あたり子供一人を無料にするキャンペーンを打とうとしたときのエピソードも印象的だった。著者が腹を括ったのはもちろんだが、上司であるグレンを説得して、「失敗すると思うが、あなたのやりたいようにやってみなさい。その代わりどんな結果が出ようと言い訳だけは絶対にしないように」と言わせ、策が当たった後「自分が間違っていたことを非常にうれしく思う」と声をかけられたというのは、すごい。

それにしても、この著者も先日読んだ「劇薬の仕事術」の足立光氏と同じく元P&Gのマーケッターだ。P&Gおそるべし。 そして、USJに行きたくなった(笑) 以下、印象に残ったところを引用。

しかしこの敵は相当手ごわいのです。なぜなら、悪意でやっているのではなく、その間違ったポイントにこだわることを正しいと誰もが信じているからです。過去の成功体験に縛られ、前例を打破するやり方を怖れるのです。それを変えようとする人間は、組織では少なからず悪であり敵だと認識されます。多勢に無勢で、実績と信頼のない新参者が変革を実行するには、大変なエネルギーと打たれ強さが必要になります。
その歩いている一歩一歩が正しいんだ!と思えないと、自信を持ったよいエクセキューション(実際のプラン=この場合はショーやイベントの品質)を現場が作ることはできません。腹の底の弱気や心配は絶対に周囲に悟られてはならない、誰かが言い切らないといけないのです。