幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

ジョン・ル・カレ「スマイリーと仲間たち」

https://m.media-amazon.com/images/I/51Achy9ma5L.jpgスマイリー3部作(海外ではカーラ・トリロジーとのこと)の完結編。

読みにくさ(細かすぎる、深すぎる、まわりくどい描写など)は相変わらずだけど展開としてはよりハラハラドキドキさせる仕掛けも入って、少しだけどエンターテインメント色が濃くなってる。

筆者がコーンウォルにこだわりがあるようで、仕事で出張する場所に近く、馴染みのある地名が出てくるのも楽しかった(出張で行くのでそのものズバリの場所には行けてないけど、いつかは行きたい)。

基本シリアスな話だけど、ところどころ笑ってしまう場所があるのも良い。ここは自分も心の中で突っ込んだところ。

グリゴーリエフがカーラの話をきいた翌日に、もう愛人にそれをしゃべっていると知った衝撃から立ちなおれぬトビー・エスタヘイスにとって、その中断はありがたかった。

 

以下、ネタバレあり。

当然、完結編と位置付けられているので宿敵カーラとの決着も付く。全体の粘着質的な描写に比べてそこはあまりにあっさりと描かれていて、それこそが趣味が良いということも理解しつつも、ハリウッド映画的にもう少しその先、せめてカーラがなんと言ったのかということも読みたかった。