幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

男はつらいよ 寅次郎の青春

1992年、第45作。バブル崩壊の不景気が話題に。

やはり寅さんの恋愛話はメインにならず。風吹ジュン演じるマドンナ蝶子に対する寅さんの想いはよくわからず。

ただ、泉とバッタリ出会ったところで、コケて足が折れたかも…という咄嗟の演技?は以前もやった仮病っぽいので、何かしらは想っていたのだとは思うけど…。

今回は、満男と泉の別れと、ラストの満男から泉への手紙が泣ける。満男は寅さんを鋭く分析していて成長している。

寅さんは、失恋で人は成長する!と言って、博に突っ込まれているが、達観するレベルには成長したのでは?

本作が御前様の笠智衆の遺作となったというのは寂しい。

ザ・サークル

Googleのサービスがいつの間にか公開がデフォルトになっていて…という事件?があった時にも、それこそGoogleGmailの内容を皆がシェアできるようにと全て公開することだってありえるな、と思っていたので、以前であれば本作で扱う内容は関心があったのだが。

当時そう思っていた時はまだGoogleはテクノロジーこそが世界を進化させるというカルト的な哲学を持つ企業という印象を持っていたし、本作でもそういう姿で描いているが、今や「いかに稼げるか」だけを考えている普通の企業としかみれないので(Facebookは論外で)、そうすることで莫大な利益が得られない限りはやらないのだろうな、と醒めた目で観てしまう。

結局、人々の関心をいかに惹きつけてページを開かせるのか、ということを最大化するのが目的であり、全てをオープンにすることは、長期的にはそれとは相反するのでは?と思うのだが。もっと考えてみるのは楽しそう。

男はつらいよ 寅次郎の告白

1991年作品、第44作ということで残り6本。

なぜ吉田日出子?というのがよくわからなかった。昔は別として今は寅次郎にとってそこまでの魅力はなかった、という描かれ方で、すごい後味が悪かった。

満男と泉については青臭い話で、満男も寅さんのことがよくわかるようになって…といい感じの見せ場は作っているので、もう少し寅さんのストーリーも丁寧にやって欲しかった。

ただ、この時渥美清はガンが見つかっていて、以降の撮影は厳しかったらしく、そういう事情もあったのかも。もう恋愛全開の寅さんは見れないのだろうか…。

野獣教師

www.imdb.com

なぜこれを観ようと思ったのだろう?と観ている途中で疑問を感じるくらいの、いろいろとユルイB級映画

もっと最初からバイオレンス全開の展開なのかと思ったが、前半は傭兵の主人公がベトナムの体験をもとに生徒たちに語りかけるなど、熱血教師っぽい。

なので、最初から校長が黒幕だとすぐにわかっているし、校長の指示で悪事を働いている生徒は被害者で彼らも救うのだろうと思ってたが…。

あっさりと殺すんかい!と突っ込んでしまった。傭兵仲間も無駄に?死んでしまうし、まさに90年代のお手軽アクション作品という感じだった。

 

ゴーン・ガール

ベン・アフレック、やはり最低やなぁ〜(褒め言葉)という展開が楽しかった。が、ストーリーは期待したほどではなかった。

以下、ネタバレあり。

 

音楽も含めた不穏な雰囲気はやはりデヴィッド・フィンチャー作品でよかったし、ロザムンド・パイクの途中でどんどん印象を変えていく演技も見応えはあった。

ただ、「完璧なエイミー」の設定を使ったもっとひねりのあるストーリーにできたのは?途中ですごく期待した分、最後は物足りなかった。

あの偶然にプランBになったかのように見える展開も全部計算尽くだった、というような展開だったらもっとゾッとしたかも。デジーも計画に最初から組み込まれてたというような…。

そのデジーを演じたニール・パトリック・ハリスは好きな俳優だけど、この役が「ママと恋に落ちるまで」のバーニーが女性を口説くための偽装のように見えて、出てきた時は少し戸惑った。

男はつらいよ 寅次郎の休日

1990年作品。満男は無事大学生になっていた。

今回のマドンナは泉(後藤久美子)の母親として前作から出ている夏木マリ

久しぶりに寅さんの恋愛か?(博から「恋愛至上主義」と言われたのは笑った)と期待したが、早い段階からはぐらかして距離を置いておいて、最後に花束を贈るとか、どこか達観した感じ。

それより、満男と泉の結婚式や子供の誕生を語る寅さんの様子が、その後のことを考えると、とてつもなく切なかった。残り7作。

パラサイト 半地下の家族

アカデミー作品賞ということで社会問題とのリンクが注目されたし、自分もそういう作品なのかな、と思いながら観たのだが、結局のところポン・ジュノ監督作品で大好きなグエムルと作風は同じ、良い意味で規格外なエンターテインメント作品で、すごく面白かった。

グエムルでも韓国の社会への問題提起的なものは散りばめられていたし、その矛盾を一気に目の前に突きつける存在が水中からあわられた怪物グエムルだった。本作ではその役割を担ったのが地下の住人で、クライマックスの惨劇のシーンはグエムルが人を次々と襲う場面を思わせるものだった。グエムルでも都会の片隅の、誰の目にもつかない「地下」のような場所がグエムルの隠れ場所だった。

ただ、そういう見方もできる一方で、普通にハラハラドキドキする展開に沿った映画でもあるところがよかった。後味は決して良くないけれど…。

 

偉そうに書いてるけど、ポン・ジュノ作品はこの2作品しか観ていなかった。他がどうなのか興味がある。