幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

「経済学者の栄光と敗北 ケインズからクルーグマンまで14人の物語」

Kindle版が安くなってたのと、経済学というものについてほとんど何も知らない自分に気づいたので、読んでみた。

著名な経済学者を紹介しながら、経済学を俯瞰し、実際にそれらがどのように歴史に影響を与えてきたかについて述べてある。

正直、読んでて飽きてくるところもあったのだが、多くのことがわかった気にはなれた。

経済学というのは思ってたよりもいい加減なもので、結局のところ人々の心理などの不確実性をモデル化できないまま、金融工学など「固い」部分だけが発展してきたものだと感じた(著者は経済学者ではない分、やや意地悪く経済学をみているというのもあるかもしれない)。

これまでは新聞やテレビでいろいろな経済学者が言うことが違うのは、パラメータ設定の違い程度の差と思ってたが、もっと根本的なところでわかってないことも多くて未だ諸説あるもののようだ。

政治の市場への介入にしても、やり方からその程度まで多くの主張があり、結果論として政策が失敗したかどうかは言えても、今どうすべきかを言うことは難しいようだ。

紹介されていた経済学者の中では「この30年間というもの、現代経済学は良くいって驚くべき無能をさらし、悪くいってしまえば事実上の加害者であり続けたのです」などと言ってしまうクルーグマン(著者も「ここまで口にした者なら、経済学者などやめてしまうべきだと思うのだが」と書いている)と、アメリカ主導のグローバリズムを批判し、「ウォール街占拠」に参加までしてしまうスティグリッツが気になった。

ドラッカーの「創作」(書いたり語ったことが事実と違うことが多く、周囲とトラブルになる)も意外だった。