「長いお別れ」は12年ほど前に読んでから、何度か読み返していたが、この新訳版を読んでもほとんど違いがわからなかった。あまり細部まで読み込んでいなかったのだろうか…。
逆に言えば雰囲気は旧訳版とほぼ同じで、やはりこの雰囲気とストーリーが好きな作品だということは再認識できた。後述する村上春樹自身による解説を読んで納得したけど、フィリップ・マーロウだけの魅力ではなく、ロスの街の描写に込められた愛着のようなものも魅力がある。
本書の一番の読みどころは訳者村上春樹による解説で、これが熱い。村上春樹の本なんてそんなに読んでないけど、これほど熱く語っているのが意外で、楽しく読めた。