仕事の関係で、著者のプロジェクトは初期の頃からよく知っていた。
最初はウェアラブルデバイスのことばかり注目していたが、その後そこから得られたデータを分析・活用するということが目的だったとわかって、なるほど!と感心したものだった。
今後、動態だけでなく会話も分析していけば、企業や組織論が大きく発展することは間違いないだろうし、その可能性の扉を開き啓蒙したという功績は大きいと思う。
ただ、本書はやや欲張りすぎな印象もあって、可能性の部分と実際にわかった・できた、ということとの境界が曖昧に感じられて、すんなり読めない部分もあった。
著者がウェアラブルデバイスのデータからの自動生成アドバイスに基づいて本書を書いたというあたりは、それが「自動」だからということから古い感覚で怖いと感じてしまった。ただ、結局のところ、今でも強い組織を作るために人が作った仕組みで同じようなことをやっているわけで、それを個々人に合わせてより効率的にできる、というだけのことと思えば、まさしくこれが未来なのだろうと思う。
ここに書ききれないほど、いろいろと考えるきっかけを与えてくれる本だった。