幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

エヴリシング・エヴリウェア・オール・アット・ワンス

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出張帰りの機内で予備知識なく(その頃はまだアカデミー賞は発表されていなくて、日本でも公開されていなかったので)、B級アクション映画だろうと観たところ、予想と全く違って、すっかり引き込まれてしまった。ただ、疲れている時は感情が昂りがちなので、それを差し引いて観たらどうなのだろう、というのと、単にもう一度観たかった、というのとで映画館で二度目の鑑賞をした。

二度目の方がさらに良かったことに驚いた。目の前で起こっていることを理解するのに追われていた一度目に比べて、映画そのものをより味わうことができた。

カルト映画のような描写やアートワークにまず目を奪われる。そこだけに気を取られると、こんな作品がアカデミー作品賞を取るのは意外、という感想になる。

しかし実際には、家族の問題や自分の過去の選択に対する後悔といった、人間の、人生の、切なさがかなり丁寧に描かれていることに気づく。主演のミシェル・ヨーの、それぞれの局面に合った演技も印象深かった。

ストーリーそのものは正統派ドラマで、それがこの映画の本当の魅力だと思う。