幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

男はつらいよ 寅次郎恋歌

第8作、ようやく1/6制覇…。 前半はそう思わなかったのだが、後半これまでの作風とかなり違ったものになった。 その雰囲気を作り出したのは1作目に続いての登場となった博の父(志村喬)。寅に自らの人生をふりかえりながら語るセリフがラストにしっかり効いていて、人情&ドタバタ路線から人の心の深いところを描くものに変わったと思う。

「人間は絶対に一人じゃ生きていけない。
逆らっちゃいかん。
人間は人間の運命に逆らっちゃいかん。
そこにはやく気がつかないと不幸な一生を送ることになる。
わかるね寅次郎君。わかるね。」

そして旅への無邪気な憧れを口にする貴子をみて、自分のようになってはいけないと思い、自ら身を引いた寅次郎。今までで一番悲しい恋の終わりだ(寅次郎がいきなり成長して変な感じはするが、僕はそう解釈した)。 そしてもう一つ。この作品公開後おいちゃん役の森川信が亡くなり、僕のお気に入りのおいちゃんは今作で最後となるのだそうだ。これもあわせて、みていてとても悲しくなる作品だった。