1989年作品。初の海外(ウィーン)ロケ!とまさにバブルやなぁ〜という感じ。
ただウィーンロケだと、その時代のことも考えるとやはり浅野ゆうことか浅野温子とかじゃないのか?さすがに3度目の竹下景子が演じるツアーガイドのマドンナ久美子はかなり違う気がした。
それに寅さんは久美子に振られたわけではない、というかそもそも恋愛感情は全く感じられなかった。なのでラストの空港では恋人に帰さない!と言われて戸惑う久美子の背中を押すぐらいの展開を期待したのに、ガックリしたのにやせがまんの笑顔で別れる、というのはそれまでのかっこよさと比べて残念。
帰国後ウィーンのことを話さない寅次郎についての御前様とさくらとのやりとりで、「寅の人生そのものが夢みたいなもの」「いつ目覚めてくれるのでしょうか」という部分はグッとくる。
20年続いた「男はつらいよ」シリーズ、時代は変われど寅次郎は全く変わることなく、とうとう現実離れした存在に到達してしまった。その後96年に寅さんのまま逝ってしまう渥美清自身の人生のことのようでもあって、ハッとするセリフだった。
それだけに、ウィーンでのマドンナとのストーリーがもっとそれにハマっていたら…と思ってしまう。