町田康作品とはわかっていたが、ページの横まで真っ黒な装丁に惹かれて手にした。ジャケ買いみたいなもの。
「告白」「パンク侍」に比べると従来の路線ぽくて、コワれている自分や世界をユルく描いている。ところどころ「パンク侍」にも出てきたような、この世への怒りみたいなのも出てくるがテンションは低い。
こまごまと笑えるところはよかった。「ノルウェーから来た哲学者が山小屋で自由律俳句を書いているような暗さ。」などと、いろんな比喩で清酒を飲む暗さ、寂しさを書いているところとか。
少しネタバレ。
最初、オチはなくてもいいかなと思ったが、この作家を町田康自身と思わせるような冒頭をもう一度読むと意味深なところがあって良いと思えた。