幻覚ギター

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「ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則」

「ビジョナリー・カンパニー」の著者が、偉大な企業がそれに至る飛躍をとげた過程を調査しまとめた本である。 もちろん、今の組織を偉大なものにしよう!と思い手にとったのだが…。 この本でよかったと思えたのは、他のビジネス書でよく言われていることとはかなり違うことが書かれていて、ハッとさせられることが多かった点だ。 まず最初にリーダーを含めて適切な人を選ぶことが重要だと書かれている。リーダーは派手なリーダーシップのもと独りで会社を引っ張るタイプではなく、謙虚・無私で粘り強く組織に貢献することを第一とする「第五水準のリーダーシップ」を持つ人物であること。さらに、はじめに目的ありきではなく「適切な人」(こちらも専門知識ではなくその組織に適した基本的な性格を重視する)を選んでから目的を定めるなど、組織の規律・文化が何より重要であるとしている。 そうする理由として挙げられている以下などは、ある規模以上の「組織」にいるととても同意できるだろう。

「官僚制度が規律の欠如と無能力という問題を補うためのものであることを理解していた。はじめに適切な人を選ぶようにすれば、この問題はほぼ解決するのだ。ほとんどの企業は、ごく少数、バスに紛れ込んだ不適切な人たちを管理するために、官僚的な規則を作る。すると、適切な人たちがバスを降りるようになり、不適切な人たちの比率が高まる。」

また、フォーカスする事業を選ぶ方法もただ儲かりそうという理由から入るのではなく、三つの円(「自分が世界一になれる部分」「経済的原動力になるもの」「情熱をもって取り組めるもの」)が重なる部分を深く理解しこれをシンプルに実行していくとしている。 当然、これを粘り強くすすめることは簡単なことではなく、「最後にはかならず勝つという確信」を失ってはいけないという。一方でただ楽観的になるのではなく「自分がおかれている現実のなかでもっとも厳しい事実を直視する規律」を別に持っておくことも必須である。 三つの円の考え方については、今やっていることをそういう視点でみたことがなかっただけに、今後のことを考える上でヒントになった。 ただ、この本を読めばすべてうまくいくわけはなく、そもそも自分が「第五水準のリーダーシップ」を備えるようになれるのか自信はないし、組織を適切な人で満たしていくことも難しい。 要するに、組織にとって理想的な人を集めて、そんな人たちが情熱と規律を持って粘り強く仕事に取り組めば、無理なくすごい成果が得られる、というあたりまえだけど難しいことを説いているだけとも言える。どうすればそれができるのか?ということに対する答えは明確にはなっていないと感じた。 あと、この本の欠点をあげるとすると、偉大な企業への賛美と比較企業のダメっぷりを指摘することの繰り返しが多すぎて、「もうやめてあげて…」という気分になること。 とはいえ、以下の言葉などはときどき思い出すようにしたいと思う。

「『なぜ偉大さを追求しなければならないのか、そこそこの成功で十分ではないのか』と問わなければならないのであれば、おそらく、仕事の選択を間違えている。」