幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

KOKOYAKYU

Kokoyakyu: High School Baseballアメリカ制作の高校野球ドキュメンタリー。いろいろとおもしろかった。 ナレーションがなく淡々と選手のインタビューや練習・試合のシーンを流しているので、制作者の主張を押し付けてくる感じはないが、ここで取り上げた映像がアメリカ人にとってはどれも特異なものなのだろう(日本人としてはアメリカの高校野球の映像もみたかった)。 2004年夏の地方予選の智弁和歌山と大阪の天王寺高校を取材。 取材意図としては、大阪の公立高校・進学校で甲子園出場はハードルが高いにも関わらず厳しい練習をする(監督が熱かった)天王寺高校と、プロ野球志望者が多くて甲子園出場は当たり前でやはり練習が厳しい野球学校とを選んだのだと思う。 (ただ2004年和歌山大会で智弁和歌山は日高高校に敗れ、和歌山大会を制したのは当時ヤクルト川端慎吾が2年生でいた市立和歌山だった。) 野球部員や監督は野球が好きということが伝わってきて野球漬けの生活を楽しんでいるようにもみえた一方で異様に感じたのは(否定する気はないけど)、智弁和歌山の応援団やマネージャたちが作る千羽鶴だった。 応援団は引退した3年生の指導がめちゃくちゃ怖く、技能よりはひたすら精神的な貢献(ギリギリまで声を張り、滅私奉公する)を求められる。甲子園やプロ野球という目標のある野球部員に比べてモチベーションが何なのかわからず、何かの罰則なのだろうか?と思った。 負けたチームが泣きながら勝ったチームにエールを送り、マネージャは相手チームのマネージャに千羽鶴を贈り、というのもフェアプレー精神的なものも感じる一方で精神論に偏った儀式にもみえてしまった。 アメリカでもアメフトなんかで試合前にヘッドコーチが熱いスピーチでチームを鼓舞してるので、"For the Team"の精神も重んじているとは思う。ただこれらは合理的に試合に勝つためのことをまずやった上での部分だと思うので、日本の高校野球は奇異にみえるだろうな…。 IMDbに海外のレビューがあったが、いずれもこのひたむきさは肯定(感動すらしている)しつつもファシズム(戦中の日本軍を彷彿とさせるのだろう)に言及しているのは、やっぱりという感じ。