幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

「最弱球団 高橋ユニオンズ青春記」

僕の世代のプロ野球ファンなら「プロ野球ニュース佐々木信也」は絶対に知っているが、佐々木信也が所属していた高橋ユニオンズのことは、名前程度しか知らないだろう。

わずか3年しか存在しなかった高橋ユニオンズを扱った本書は、プロ野球好きにはたまらない本だった。

プロ野球の歴史を感じるいくつものエピソード、そしてタイトルにある「最弱球団」に関する部分はまさに「すすめ!!パイレーツ」の世界。

この球団に関係した人々の「青春」も描かれていて、しんみりとなるところもある。

そうだったのか!というエピソードとしては、以下のようなものがあった。

・この球団が個人所有の球団として発足した

スタルヒンが300勝をあげたのは高橋ユニオンズの選手として

高橋ユニオンズに一時在籍した小川健太郎投手は後に中日ドラゴンズに入って、王貞治に背面投げをした

・元広島カープ黒田博樹の父である黒田一博は南海から初期メンバーとして高橋ユニオンズに移籍した

佐々木信也は、高橋ユニオンズ解散後移籍した大毎オリオンズ西本幸雄にクビにされた。後にプロ野球ニュースで一緒に仕事をするようになって当時のことを改めて問い詰め、西本幸雄からずっと謝ろうと思っていた、と言われた(クビになっても食いっぱぐれなさそうな人を選んだのだと)。

また出てくるチーム名から、当時のプロ野球は新聞、映画、私鉄のチームが多かったことがよくわかる。

パイレーツっぽい話もたくさんあって、笑える。

初期メンバーとして他球団から出された選手リストをみた感想、

(山本のヤツめ、自分が扱いきれない酒好きのヤツらばかりを押しつけやがった)

(こちらも、もう使い切った連中ばかりじゃないか。それにみんな呑み助ばかり)

とにかく弱くて、低勝率の罰金(当時ある勝率を下回るとかなりの罰金が球団に課せられた)を回避するために、消化試合で相手に勝ちを「事実上」譲ってもらったことなど。

マジメなところでは、当時も今もプロ野球のあり方、球団経営のあり方に課題がたくさんあるのにほぼ放置されてきたことは本当にガッカリさせられる。もっと健全に、ファンが納得できるようなプロ野球界になっていってほしい。