幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

A.ダマシオ「意識と自己」

グレッグ・イーガンの作品によく出てくる、「移入」。人間の記憶や意識といったものをデジタル化し、肉体を捨てて永遠の命をサイバー空間上で得る(ただナノマシンを使って自由自在に物質化もできる)という世界が実現できるものなのか、すごく関心がある。

で、本書を読んだのだが、かなり難しかった。

何よりそれこそが本書の良さだと思うのだが、ただ概念的な意識の構造や理論を展開するのではなく、多くの実験を経て獲得された生理学的な脳の部位の働きや、そこから意識へとつながる色々な階層の仕組みの説明が多く、素人には難解すぎた。

ただ「魂」というようなファンタジーは存在しなくて、やはり物理的・生理学的なものが複雑に組み合わさって「意識」というべきものが生じているということは何となく理解できた。

それは、いつか「移入」のようなテクノロジーが可能になる、ということだと思えたし、そもそも今自分が感じている「自意識」が本当に生まれた時から存続してきたものなのか、ということも疑問に思えてきて、おもしろかった。