幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

ザ・ビートルズ Get Back

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Disney Plusでみておくべき重要作品だけど、とにかく長い(2時間超x3エピソード)が、貴重映像を流し見したくなく、全部観るのにだいぶ時間がかかった。

 

中学か高校の頃に、映画"Let It Be"を観たことは覚えている(なぜか夜中にやっていた記憶)。ただ当時、まだビートルズ初心者でグループがどのような音楽的なフェーズ経て、どうして解散に至ったのかも知らなかったし、この映画が後期のものというのはわかっても、演奏以外のぎこちない会話など、何が起こっているのかは全然理解できなかった。

後から、あの映画がグループがまさに解散に向かって進んでいるネガティブな雰囲気に満ちたものという評価を知り、自分の中でこの映画というかGet Backセッションの印象がそういうものに固定化されていた。

 

本作は同じGet Backセッションの映像素材を使った作品だが、監督はあのピーター・ジャクソンで、膨大な映像の中のほんの少ししか使っていない"Let It Be"に比べて多くの映像が使われていて、メンバー間の不和を強調したような"Let It Be"とは(繰り返すがあまり正確には覚えていなくて印象なのだけど)かなり違う印象を持った。

特に興味深かった点:

  • "Let It Be"ではトゥイッケナムの寒々とした場所での、メンバー間の寒々としたやりとりだけが印象に残っていた。実際にはその後アップルのスタジオに移り、ビリー・プレストンが参加してからは、メンバーが曲作りに手応えを感じていき、もっと演奏したいという雰囲気がみられた。思っていた以上にポジティブだった。
  • ビリー・プレストンの電子ピアノの重要性はアルバムを聴いてもあまりわかってなかったのだが、ビリー・プレストンが加わってからの音の変化が明らかだった。同時に後のニュー・ソウル的な展開も感じられ、あのままビートルズが活動を続けていたら、同時代の音楽シーンの影響を受けて、どう変化をしていったのか、興味を掻き立てられた。
  • 一方で、やはりエプスタイン亡き後、合議制(全員一致)で物事を決めていくようになっていたが、メンバーそれぞれの興味がグループ外に向いてしまっている以上、そのままビートルズを続けることは難しかったのだろうと映像からもよくわかる。数年に1回メンバーが集まって何かする、というような緩い活動だったら続けられたのかも(メンバーもそういうことを言っていた場面があった気がする)。
  • ルーフトップ・コンサートも、本当に突然やったのだったらカッコよかったのだろうが、結局グダグダと何も決められずにやった中途半端なものだった。誰か敏腕プロデューサーがいればもっとすごいことができたろうに…と思った。メンバーがそれを望まなかった、ということが全てなのかもしれないが。
  • アレン・クラインがビートルズのマネジャーになるという話が差し込まれるが、これはまさしく泥沼のビートルズ解散劇(本作をみて、もう一度「ザ・ビートルズ 解散の真実」をもう一度読みたくなった)への決定的なポイントとなるので、つらい。

ルーフトップ・コンサートつながりで知った、ザ・シンプソンズのS5-1(夢のカルテット)は、ジョージ・ハリスンも出てきて、結構こだわったパロディになっていて楽しめた。