読み始めて、「火星の人」の二番煎じだし、文体の軽さとかところどろこに入る薄寒いコメディ要素とか、登場人物が日本のアニメキャラっぽいとか、いろいろと読むのがしんどかった。
最後まで読んで解説をみて、著者が(翻訳も)まさに「火星の人」と同じだったと知って逆にビックリした…。
以下、ネタバレあり。
プロットが似ている(ただしスケールはでかい)のは仕方ないし、ラストの展開もやはり「火星の人」と同じ感じなのも(ただしやはりスケールはでかい)、これはこれで嫌いじゃない。
でも、チートキャラのロッキーとか、そもそもの人類の脅威自体も完全な創作物で、主人公たちが立ち向かう危機そのものが最初から正解が用意されたものということが明白すぎて、そこが盛り上がらない(そら著者が考えて脅威を作って、それを作中の人物たちが解いているだけやん、と思わせないような筆力が欲しかった)。
よかった点(そこをもっと巧妙に、深く書いてくれていたら、と思う部分)は、記憶を失った主人公が徐々にそれを思い出しながら、現状につながっていく部分。逆にいろいろと期待してしまった。例えば同僚のクルーを殺したのは主人公だった、とか。
それと主人公が地球上では対等な人間関係の中に居場所を見つけることができず、だからこそ、異星人との間に友情を見出し、異星に居場所を見つけられた、ということももっと深く掘っていれば読み応えのあるものになったのでは?
材料やアイデアはとても良いと思ったけど、料理の仕方が気に入らなかった。