幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

村上春樹「走ることについて語るときに僕の語ること」

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)FBでこの本の感想を書いてる人がいて、おもしろそうだったので読んでみた。 村上春樹というと、世間でのありがたがられ方がどうしてもおもしろくなく(バカバカしい理由だけど)、「1973年のピンボール」を読んで、こんなもんか?と思い、最近読んだ「1Q84」ではスティーブン・キングやんけ?と、とかく勝手に突っかかってしまう作家。 ただ本書は小説ではなく、マラソントライアスロンに挑んだり、小説を書いたりすることに関するエッセイであり、素直に読むことができた。 結局小説も2冊くらいしか読んでないのだし、他のも読んでみてもいいかもしれない(そう思えるようになった単純な理由は後述する)。 マラソントライアスロンについては、だいたい8kmくらいのジョギングしかしない僕にとっては、ちょっとレベルが違うところではある。ただいつかもっと長い距離を走ってみたいとも思っているので、心構えや準備に関するところはおもしろかった。 また村上春樹自身の経歴もまったく知らなかったので、もともとジャズバーを経営していたというのも興味深く、なかでも小説を書くきっかけというのが特に心に響いたし、これまでとはこの作家を見る目が変わってしまったかもしれない(笑)。 熱心なスワローズ・ファンである村上氏が1978年(スワローズがリーグ初優勝、初日本一を成し遂げた年!)の開幕戦を神宮球場でみていた1回のこと。
そしてその回の裏、先頭バッターのデイブ・ヒルトン(アメリカから来たばかりの新顔の若い内野手だ)がレフト線にヒットを打った。バットが速球をジャストミートする鋭い音が球場に響きわたった。ヒルトンは素速く一塁ベースをまわり、易々と二塁へと到達した。僕が「そうだ、小説を書いてみよう」と思い立ったのはその瞬間のことだ。
スワローズファンクラブの名誉会員に出川とともに、この人の名前がある理由がようやくわかったのだった。