幻覚ギター

みた映画、きいた音楽、よんだ本。

書籍・雑誌

2021年読んだ本ベスト5

今年は良い本に多く出会えた年だったので、その中でもベスト5を選んでみた。 1. 三体Ⅲ 死神永生 Ⅱまででも十分楽しめたのに、さらに期待を超えるスケールの拡がり方がすごかった。 2. ディアスポラ これもスケールのデカさにワクワクさせられた。 3. ホモ・…

「リーダーシップの旅 見えないものを見る」

人にすすめられた本。 今まさに、読むべき本だった(いや、もう少し早く読んでおいてもよかった)。リーダーシップを旅に例える、それも「千の顔を持つ英雄」を念頭に置いていて、それだけでも勇気が湧いてくる。 もともと自分はマネジメントが弱いと思って…

「ホモ・デウス」

こういう本と、グレッグ・イーガンとかの少しハードなSFを交互に読んでいるだけで、いくらでも妄想が捗る。そういう時間をもっと作りたい…。 近代以前、神や自然の法が人々の人生に意味を与えていた一方で、人々は力を持たなかった。人類が科学技術を手に入…

「ホワット・イフ?―野球のボールを光速で投げたらどうなるか」

筆者のウェブに寄せられた、めちゃくちゃ雑な「こうすると、どうなる?」という質問に回答するために、それらを小さな問題に分割し、それぞれの推定に必要な情報や理論を集めて…というプロセスこそが参考になる本だと思う。 筆者自らが描く挿絵もいい味(絵…

「リモートワークの達人」

仕事で、会社としてリモートワークとどう向き合うかみたいな検討をしてたこともあって読んでみた。 内容はすでに語り尽くされていることばかりなのだが、この本が2013年に書かれた、というところがやはり驚きだった。 個人的にはリモートワークの方が断然良…

テッド・チャン「あなたの人生の物語」

映画をみて、原作を読まないと、ということで。 表題作で、映画の原作でもある「あなたの人生の物語」は映画と違ってテーマが人類と全く異なる言語にあって、それを学ぶルイーズの中で過去から未来に流れるという時間の概念が変化する、というものだった。 …

ギケイキ2: 奈落への飛翔

解説にも書いてあったが、いよいよ平家との戦いが描かれると思っていたら、頼朝に追討されるところまで一気にすっ飛ばされる。 これは原作である義経記自体がそうだから、とのことで、原作とも読み比べてみたい。 相変わらず弁慶がおもしろすぎるし、いろい…

アイザック・アシモフ「銀河帝国興亡史」

もちろんタイトルは知っていたのだが、1950年代の古典というイメージで手を出さずにきた。「三体」の解説で言及されていて気になって読んでみたのだった。 こんなに面白いとは思ってなくて、もっと早く読んでおくべきだった。本作が後世の作品に与えた影響の…

グレッグ・イーガン「ディアスポラ」

壮大なハードSFで、ついていくのは大変(ところどころは雰囲気で理解)だったけど、面白かった。順列都市と構成が近い。 人間の記憶や意識をスキャンしてコンピュータ上で走らせる<移入>の世界が当たり前の世界を、ほぼ説明なくグイグイと物語を進めていく…

テッド・チャン「息吹」

レビューが相当に良かったので、かなり期待したのだが、ラストの「不安は自由のめまい」がなければ、期待外れだった。 好みによると思うが、どれも仕掛けもストーリーも期待したものに比べて小さくて、物足りない。 ただ、ラストの「不安は自由のめまい」は…

「三体Ⅲ 死神永生」

前作のラストがあまりに素晴らしくて、続編なんて成立するのか?でもさらにすごいらしい…と1年近く待ちわびてとうとう完結作を読んでしまった。 以下、ネタバレあり。 前作で羅輯が繰り出した一手によって成立した抑止紀元。羅輯から程心に執剣者の地位が継…

「詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間」

今でも一番面白かった日本シリーズは92年のヤクルトスワローズ-西武ライオンズのシリーズだと思っているし、中でも第6戦のハラハラドキドキ感は、やはりベスト3には入る試合だと思っている。 あまりに弱くて、応援している自分が惨めになって病みかけたほど…

「共感経営」

ちょっと後付け感が強すぎて、途中で読むのが疲れてしまった。「物語り」とあえて書く理由とか、言葉遊びのようで刺さらなかった。 ただ、成功事例の解説は後付けであっても、読むと気持ちが盛り上がった。

町田康「湖畔の愛」

これは…町田康作品だとわかっていても、やはり怪作というしかないような一冊だった。 タイトルやホテルを舞台にしたオムニバス的な構成で、普通だったらちょっといい話が並ぶところ。 が、当然どこかおかしな客に(そもそもホテル側にも破天荒なスカ爺のよう…

SHOE DOG 靴にすべてを。

NHKの番組でこの本をもとにしたドキュメンタリーをやっていて、すごく面白かったので。 前半は、少しファンタジー・自己陶酔っぽい描写に戸惑いながら(レイ・クロックの自伝と同じ雰囲気だ)も、正社員1号のジョンソンの狂気から目を離すことができず(絶対…

山口瞳「居酒屋兆治」

映画をみて、原作も読んでみたくなったので。 映画が原作に忠実だったことは意外だった。原作の方が時代が十年くらい古いと感じたのだが、調べてみると連載から3年くらいしか違っていなかった。これは文体のせいなのかな…。 いずれにしても頭の中でほぼ、高…

「みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史」

仕事で基幹システム関係の検討に関わったこともあるので、本書に書かれているような、アンチパターンは多く聞いた。ただ、やはり実例として書かれてある方がとても参考になる。もちろん、規模も事情も全然違うのだけど。 もっとドロドロとしたものはあったと…

MARVEL 倒産から逆転No.1となった映画会社の知られざる秘密

マーベルがどんな会社かは知っていたつもりだったが、特に映画ではこれほどいろいろあったとは知らなかった! そういう動きばかりを中心に書いているから、というのもあるだろうが、金のことしか考えない人が多すぎ。そして契約があろうが最後は金で解決しす…

「データの見えざる手」

仕事の関係で、著者のプロジェクトは初期の頃からよく知っていた。 最初はウェアラブルデバイスのことばかり注目していたが、その後そこから得られたデータを分析・活用するということが目的だったとわかって、なるほど!と感心したものだった。 今後、動態…

「会社の値段」

どうせハゲタカファンドみたいなM&Aコンサルが書いた本だろう、みたいな先入観で読み始めたが、いろいろと自分の考えを整理できてよかった。 書かれたのが2005年、ライブドア事件でこのテーマに対する注目が高まった時だったようだが、本書で書かれている企…

三島由紀夫「美しい星」

学生の時、友人の影響で三島由紀夫ばかり読んでいた時期があったが、この作品は最近まで知らなかった。 学生の時以来の三島作品なので、当時の印象と比べての感想だけど…。 読み始めて、これは真面目に書いたものなのか?とかなり戸惑った。自分たちが火星、…

野村克也「ヤクルトスワローズ論」

何とか今年のプロ野球は日本シリーズまでやり切れたのはよかったと思う。こんな変則シーズンだからこそ、スワローズにもチャンスがあるかもと、首位に立ったときは思ったものだったが… 本書で書かれていることは、これまでもあちこちで言ったり書いたりした…

戦略プロフェッショナル[増補改訂版]

予想してなかった異動で、9月から立場も事業内容も未経験の仕事をすることになった。 もちろん、この状況を楽しんではいるけど、やはりいろいろと難しいことはあって、そんな時にはこういう本を読んで心を熱くする。 とにかくいろいろと参考になる本。

ザ・会社改造 340人からグローバル1万人企業へ

「V字回復の経営」は10年前に読んで、心に火をつけられた。 シリーズ本があることは知っていたが、その「戦略プロフェッショナル」の増補改訂版が本書である。 ちょうど仕事が大きく変わって再び現場に挑むことになり、どうしていこうかと思っていたところだ…

「思想としての〈新型コロナウイルス禍〉」

COVID-19によって世の中が変わるとしたら、どうなるのか、ということは仕事の上でも、自分の生活の上でも気になるところ。 ただ、ビジネス系メディアで読める実用的なものには飽きてしまったので、もう少し知的好奇心(笑)を刺激したくて違うものを読んでみ…

「ソラリス」

映画は、原作とはかなり違うことがよくわかった。あの衝撃的なラストが原作にないことが一番意外だった。 原作は、ソラリスという人類の想像を遥かに超えた存在に対して人類がどのように対峙したのかが、ソラリス学という分野の科学史を中心にSFらしい想像力…

「三体II 黒暗森林」

前作を読んでから待ち遠しくて仕方なかった。前作は世界観もわからず、どういう展開になるのか予想がつかないまま著者の筆力にどんどん引き込まれていく感じだった。今回は展開も予想がつくけど、その通りだと面白くないな…と少し心配もあったのだが、それを…

ベン・ホロウィッツ ”WHO YOU ARE"

HARD THINGSほどの感動はなかったけど、望ましい企業文化を作ることはやはり重要だし、それでいて本当に難しい。 本書ではトゥーサン・ルーベルチュール、シャカ・サンゴール、武士道やチンギス・ハンといった例を中心にいかにして文化を作り上げるかについ…

「Xの悲劇」

シャーロック・ホームズは子供の頃からかなり読んだけど、それ以外の推理小説はそれほど読んでない。 本作もすごく有名だけど今まで読んだことも、内容も全く知らず。 シャーロック・ホームズと似た雰囲気で、昔の推理小説という感じだけど、やはり犯人は?…

「誰も語りたがらない 鉄道の裏面史」

信楽鉄道の事故原因は、大括りでまとめられたものは記憶にあったが、こういうことだったのか、と驚いた。 緊急時の安全装置をわざと作動させて、足元の不具合を回避するという、「仕組みの不具合を運用でなんとかする」ということをやっていたとは…。 こうい…